知恵-1グランプリ

薄板金属で熱の課題を解決するイノベーションパートナー
株式会社最上インクス

機械部品・精密部品の製品化には、"試作"はなくてはならないプロセスである。同社は、標準化された金型を組み合わせることで短納期・低コストを実現した「簡易金型技術」、独自のプレス化を中心とした「薄板金属加工技術」を開発するなど、試作分野で確固とした事業基盤を構築してきた。

今回のプランは、熱交換器に使われる薄型金属フィン(放熱フィン)の試作を世界で初めて事業化するというもの。精密機械、燃料電池、自動車や航空機...。今や、「熱をいかに制御し、放出するか?」が製品性能を高める上で大きな課題となっている。しかし、従来の放熱フィンの試作は、主に切削や射出成型などの方法で行われていたため、時間やコストが相当かかっていた。同社はこれまで培ってきた技術やノウハウを生かし、単に高精度・高品質な試作品を提供するだけでなく、標準化思想に基づいた効率的なフィンの開発・設計・実機試作・量産体制を実現。開発から量産まで一貫して対応することで、製品化までの期間と価格を従来の5分の1程度に削減できるとしている。さまざまな熱交換器メーカーの開発段階からパートナーシップを構築して、下請け加工業からの脱却し、放熱フィンメーカーを目指している。

まずは、特に高い品質が要求される自動車、燃料電池、航空機の三市場にターゲットを絞って、ビジネスを進めていく。あらゆる製品が小型化・高性能化していく中で、"熱"を切り口に、ものづくりのイノベーションを図る。


■審査委員長の目:龍谷大学 教授 佐藤 研司

薄板金属加工を専門とする同社が、技術的ノウハウを活かし、自社規格の放熱フィンをベースに、最適な形状の提案や開発、実機試作、量産までを行うメーカーモデル構築を目指す。これまでに試作加工等で蓄積した短納期で安価な製造ノウハウを活かし、放熱フィンの専門メーカーとして独自性を広く認知させることが課題である。

<企業情報>
株式会社最上インクス
代表者 : 鈴木 滋朗
住所 : 京都市右京区西院西寿町5番地
TEL : 075-312-8775
Web : http://www.saijoinx.com/
<事業内容>
精密薄板金属の試作加工、試作成形加工、精密量産プレス

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