知恵-1グランプリ

和と洋の文化・技術・素材を融合した
デザート・カフェおよびギフト商品

亀屋良長株式会社

享和3年(1803)の創業以来、伝統的な製法・味わいを守りながら、和菓子の製造販売をする老舗であり、沖縄県波照間島産の黒糖を使った「烏羽玉(うばたま)」は、品の良い甘さが支持され、今も変わらぬ同社の代表銘菓である。

その同社が2010年に、フランスの二つ星レストランでシェフ・パティシエをつとめた藤田怜美氏を迎え入れ、新ブランド「Satomi Fujita by KAMEYA YOSHINAGA」を立ち上げた。黒糖餡の代わりに、和栗やラム酒を加えた餡玉をラム酒入り寒天でコーティングした「まろん」を販売するなど、和・洋の枠組みのとらわれない"楽しい"スイーツ創作に意欲的に取り組み始めた。

今回のプランでは、フランスの食文化の魅力をより伝えることのできる和洋融合の生デザートを開発し、本店でしか味わえない付加価値の高い商品を提供するカフェをオープンすることで、同社の伝統的和菓子や創作和菓子の販売も行い、京都の菓子文化の発信拠点とすることを目指している。このほか、新たに洋菓子の技術と素材を取り入れることで、賞味期限の長い新商品を開発し、ギフト市場の開拓にも取り組む。

和・洋の食材や技術を組み合わせた菓子や店舗は数多く存在するが、和菓子職人とパティシエの技術、更には食文化自体を掛け合わせた菓子を提供するケースは珍しい。洋菓子は好きだが和菓子に馴染のない若者、外国人観光客など、今まで和菓子になじみの薄かった新たな顧客の取り込みが期待される。革新の繰り返しが、新たな伝統を生み出していく。


■審査委員長の目:龍谷大学 教授 佐藤 研司

和菓子の老舗である同社が、フランスの2つ星レストランでシェフパティシエとしての経歴を持つ藤田怜美氏を起用し、立ち上げた事業である。伝統を守るだけでなく、新たな市場開拓に向けての意欲的な取り組みと評価できる。その実現に向けて、相互の利点を損なうことのないビジネスモデルの構築が重要と思われる。

<企業情報>
亀屋良長株式会社
代表者 : 吉村 良之
住所 : 京都市下京区四条堀川東入ル
TEL : 075-221-2005
Web : http://kameya-yoshinaga.com
<事業内容>
和菓子、創作菓子の製造販売

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