知恵-1グランプリ

資源循環型土「エコクレイ」の開発・販売
東和スポーツ施設株式会社

家庭から排出されたごみは焼却炉で燃やされる。その焼却灰をさらに1200℃以上の高温で溶かし、冷却・固化したものを「溶融スラグ」と呼んでいる。環境に優しい安全な素材として注目される一方、全国の年間発生量は約89万トンにのぼり(2009年度見通し)、その処理費用も膨らみつつあり、埋め立て以外の新たな用途拡大が求められている。

同社ではこうした社会的ニーズに応えて、今回、各都市で発生する溶融スラグ等を有効活用した「エコクレイ」を開発。天然土を使わず、100%リサイクル材料だけで製造した資源循環型の土だ。水はけが良く砂埃がたちにくい「グラウンド用」は既に販売・施工実績があり、植物育成に適した「造園・園芸用」、ヒートアイランド抑制効果のある「路盤材」も加えた3種類のターゲットの異なる商品で顧客拡大を図る。 法令やJIS規格に基づく試験を繰り返し安全性と品質の向上に努めており、独自の特許技術の確立によって多機能・低コスト化を実現。環境意識が高まる中、一般家庭などでの需要も広がっていくだろう。

将来的には、全国各地の土砂砕石業者や産廃業者、造園・建設業者などと提携し、技術貸与による製造・販売の現地化で、全国への普及をめざす。 各地で発生する溶融スラグをその地域で有効利用する...という循環型社会推進のビジネスプランは、21世紀のソーシャルビジネスの一つのモデルともなろう。自治体のコスト削減はもちろん、市民の環境意識の啓発にもつながっていくことが期待される。


エコクレイの製造現場。
全国展開を目指す。


運動競技場舗装やガーデニング用など多用途もエコクレイの強みだ。


■審査委員長の目:龍谷大学 教授 佐藤 研司

溶融スラグ等を使用した資源循環型土の開発、製造を手がけ、これまでにも行政の認定を受けて小中学校を中心とした販売・施工実績を持っている。リサイクル社会の実現は必須の課題であり、同社の持つ100%リサイクル素材による製造技術は評価される。 今後の市場拡大に向けて、新たな市場の開拓だけでなく、製造に携わるネットワーク化が重要な課題となろう。

<企業情報>
東和スポーツ施設株式会社
代表者 : 川谷 真輝
住所 : 京都市左京区北白川下池田町79-1
TEL : 075-702-1177
Web : http://www.towa-sports.co.jp/
<事業内容>
土木工事(運動施設、造園、舗装)一式、体育施設用具の製造・販売

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