経営者のための人財育成通信 vol.21
2026年04月13日 コラム

本格的なAI時代の人材育成に効く、
マーケティングの基本とは
「マーケティング」と聞くと、一般には広告や売るためのテクニックを思い浮かべるかもしれません。しかし本来のマーケティングとは、単に売るための手法ではなく、「誰に、どのような価値を、どのように届け、いかに顧客への価値を創造するのか」を考え続ける、もっと広い経営の土台となるものです。
企業を取り巻く環境は、価格競争や人材不足、顧客ニーズの多様化等、ますます課題が増え、不確定な要素が多くなっています。このような複雑な環境の中で重要なのは、自社の強みや独自性を浮き彫りにし、「選ばれる理由」を明確にすることです。マーケティングの視点を取り入れることで「なぜ自社が存在するのか」「この顧客に、どんな価値を提供しているのか」が整理され、その価値を届けるための一貫した行動ができるようになります。
これは個人のキャリアにも通じます。自分がどのような価値を発揮できるのかを理解し、その価値をどのように磨き、どう提供するのかを考えることが、主体的なキャリア形成につながります。中長期目線の自発的なキャリア形成にも役立つ考え方ともいえるでしょう。
近年は生成AIの普及により情報収集や資料作成といった業務の効率化が急速に進みました。だからこそ、これから必要になるのはAIに「何を問うべきか」という判断力です。「問い」と意思決定を軸にマーケティングの視点を持つことで、AIはより大きな力を発揮し、我々の強い味方になります。
AIは試行錯誤を高速で繰り返し出力することができます。その強みを最大限に活かすためには、それらの結果の判断基準となる価値や戦略の方向性を明確にしておくことが不可欠です。マーケティングは、その判断基準をつくるための実践的な学びであり、組織や個人が持続的に成長するための基盤とも言えます。
これからの時代に求められる人材育成は、特定のスキル習得の機会を提供するだけでなく、自ら問いを立て、新たな価値を創り出せる力を育てることも必要だと考えます。マーケティングを基礎から学ぶことは、組織の判断力を底上げする、本格的なAI時代を見据えた人財育成投資と言えるのではないでしょうか。
文/ルトラ合同会社 代表 横田 真奈美 氏氏
※本コラムは京都商工会議所会報誌 BUSINESS REVIEW 2026年 3-4月号に掲載分の再掲です。
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