コラム/お知らせ

経営者のための人財育成通信 vol.18

2025年09月20日 コラム


ハラスメント相談は初期対応が成否を分ける

 

企業や病院で多くのハラスメント事案に関わる中で、いつも痛感するのは、初期対応の重要性です。

つい先日も、某企業にて、ある従業員がハラスメントの相談窓口である人事課へ、先輩の問題行為について相談しに来られました。相談担当者は、一通りの話を聴いた後、当該部署長とも相談し、その内容であれば、部署内で解決できるであろうと判断し、部署長に対応を預けてしまいました。相談者にとっては、「部署内で解決できない」と判断したからこそ人事課に相談したのに、十分な調査もされずに部署へ戻されてしまったその対応に、大きな憤りを感じることとなりました。
そして、今度はその当該部署長の対応や発言がハラスメントにあたるのではないか、と同じ従業員から訴えられました。
振り返ってみると、初めの申し出に人事課が対応した際に、相談者の訴えた内容やその思いを十分に汲み取ることができておらず、判断を誤ってしまったことが、事を大きくしてしまいました。

相談を受ける際には、ただその訴えを聞けばよいのではなく、その背景にある事情、相談者および周りにいる人たちの状況、そして今後の対応として何を望むのか、など押さえておくべきポイントがいくつもあります。
加えて、ハラスメントの被害に遭った人は、心に傷を負い、精神的なストレスを抱えて日々苦しみながら仕事をしている人が少なくありません。その心情を丁寧に受けとめながら、これからどのように解決の道筋を探っていくのか、一緒に考える姿勢が相談対応者には求められます。

初期対応を誤らないためには、相談者の声に誠実かつ真摯に耳を傾けるカウンセリングの視点と、状況を冷静に判断し適切に対応するコンサルティングの視点の両方が欠かせません。ぜひその心構えを今一度見直し、実際の対応に活かせる技術をトレーニングしておきましょう。


文/株式会社ナースハート 代表取締役 井上泰世氏

※本コラムは京都商工会議所会報誌 BUSINESS REVIEW 2025年 9-10月号に掲載分の再掲です。



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