知恵産業研究会報告書

第3章 京都企業の「知恵」の抽出

4.京都企業の「知恵」の特徴

前節にて、「事業展開ステップ(5区分)」×「新価値創出アプローチ(2区分)」のマトリックスにおける合計10のセルに対して、知恵産業研究会が実施した30社余りのヒアリング調査結果から抽出された「事業の知恵の使いどころ、活かしどころ」を位置づけた。その上で、マトリックス全体を俯瞰し、「京都の商工業における知恵の特徴」を考察した。

また、それらの特徴に対して、第1章にて検討した「京都という都市文化特性」に再度照らし合わせ、「京都」における「商工業活性化の知恵」として、今後さらなる進化と強化を目指すべきポイントを明らかにした。

4.1 分析フレームワークから明らかになった京都商工業の知恵

自社の「強み」に気づいている

まず、全体の傾向としては、ヒアリング調査に協力いただいた全ての企業において、その成功の出発点には「自社の『強み』への気付き」があることは明らかであった。これに対し、知恵の使いどころに迷う企業では、「自社の強みが何なのか自分たちではわからない」という相談が多いと言う。

確かに、日々当然の営みとして続けている中で、個々の企業は経営者であっても「自社の強み」を意識することはおろそかになりがちであろう。しかし、知恵を使って事業に成功している企業のほとんどは、意識的なケースもあれば、無意識の内もあるが、自社の『強み』に気づいているという出発点に差があることは明らかであった。

自社の「強み」に気づいている

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