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ヒアリングレポート15
株式会社 岡重
代表者 | 代表取締役社長 岡島 重雄 |
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所在地 | 京都市中京区木屋町通御池上ル上樵木町502 |
会社概要 |
京友禅染色(加工) |
WEBサイト | http://www.okaju.com/ |
取材日/対応者:平成20年9月3日(水) /代表取締役社長 岡島 重雄
古典柄からモダンデザインまで、明治・大正・昭和にわたって手がけた500点を越える多彩な羽裏の図案のストック。
マーケットニーズを捉えた商品企画力と信頼関係で、高度な技術をもった200人もの職人を束ね、高品質なものづくりの機能と環境を維持。
既成概念から脱却し、染色技術や豊富な図柄を活かせる商品作り
創業154年の老舗友禅会社を継いだ現在四代目社長は、どれだけ優れた伝統工芸品を作っていても現代のライフスタイルにあっていなければ市場に受け入れないと考え、友禅の技術を活かした新商品の開発を決意。約25年前、カジュアルバッグの製造販売を始めたが、思うように売上が伸びなかった。当所は「バッグは革で作るもの」という概念から、革の型押ししか考えていなかったが、ふと「自社の強みは何だろう」と振り返り、「染める」ということなら誰にも引けを取らない、ということに気づく。そこでこれまでの染色技術を活かし、よそにはないオリジナルのバッグやアクセサリーを開発し、今や売上の中心となっている。
着物の脇役だった小物を主役にし、現代のライフスタイルにあった商品を
伝統の技やものづくり技術といった守るべき部分をしっかり守る一方で、その技の成果品である商品化については、ライフスタイルに合わせ従来の路線を少し「ずらす」発想を持っている。例えば、バッグ商品も、着物の隣にあった小物に着目し、こちらに中心をずらしたもの。昔ながらの巧みの技と図柄を使いながらも、斬新さを感じさせるものとなっている。
異業種との出会いから生まれたバッグや筆ペンなどの新製品
現社長はあるプライベートの席で筆ペンメーカーと同席、かねてより筆ペンで何かいいものがないかと考えていたところ、同社の漆塗り職人の手をかりペン本体に一本一本漆をかけ蒔絵を施した。これと、明治時代から昭和初期に流行した更紗文様を同社所蔵の資料から独自にアレンジし、昔の扇子入れのかたちをイメージしてデザインしたペンケース及び桐箱をセットして販売することを発案。バックから筆ペンを取り出して紐を解き袋から出す仕草は優美。人気の高い逸品である。このようにアイディアの在庫を抱え、異業種から刺激を受けることがヒット商品に結びついている。
まずブランディング、そして顧客の納得できる価格で提供
手間のかかる商品は、手間をかけてお客様に伝えることが必要。同社では従来のテレビや雑誌よりも、「影響力のある人」(芸能人が個人的に岡重商品ファンとして愛用している事実)、「影響力のある場や時」(京都の本店のみの品揃え、京都の職人さんとのマンツーマンによるあつらえ)、「影響力のある生活文化」(羽裏の図案等のギャラリー展示)などにより商品の価値を伝え、独自のブランド化を進めている。更に、これらの商品を、海外高級バッグの売れ筋価格帯に注目し、同等の価格帯で提供、お客様の安心と納得、理解を得て売上を伸ばしている。
セレブリティご愛用のバッグ、海外輸出の実績。ニューヨークへの出店。
ファッション雑貨・生活用品など非呉服売上が伸び、呉服との売上げ比率が逆転。