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ヒアリングレポート3
株式会社 川島織物セルコン

代表者 代表取締役社長 中西 正夫
所在地 京都市左京区静市市原町265
会社概要
  • 創業 天保14年(1843年)、会社設立 昭和13年(1938年)5月
  • 資本金 82億7,700万円、従業員 2,841名(2008年3月31日現在連結)
  • 年商 約858億円(2007年度)
事業内容
呉服・美術工芸織物(緞帳、祭礼幕、和装小物など)の製造販売
インテリア・室内装飾(カーテン、カーペット、壁装、インテリア小物など)の製造販売・室内装飾工事、自動車・列車・航空機内装材製造販売
WEBサイト http://www.kawashimaselkon.co.jp/

取材日/対応者:平成20年10月21日(火) /代表取締役会長 青戸 紘

強み

西陣織の帯に代表される160年余りの伝統を受け継ぐ織物技術、数万点に及ぶ川島コレクションから生み出される独自のデザイン力、先端繊維素材の研究開発力・製造技術

知恵のつかいどころポイント

西陣の綴織技術を高め、自動車内装品など時代に応じた製品へ

技術開発型・発想段階

江戸後期に川島甚兵衞が創業した呉服悉皆業が起源。明治を向かえ欧風文化の波が日本に押し寄せ、日本の伝統的な織物産業が淘汰されようとする中、2代甚兵衞は西陣織の技術が西洋のテキスタイルに遜色ないものであると確信、自ら「綴織」技術に改良を加え、明治宮殿の室内装飾織物を納入、その品質・技術の高さで旧宮内省御用達の国内企業第1号に選ばれた他海外の博覧会にも積極的に出展、1900年パリ万国博覧会では栄誉賞を得るなど製品展開においてまず海外で評価を得るという京都企業の先駆け的な事業展開を行っている。

劇場が次々に作られる時代にはステージの緞帳を数多く作り、戦後の日本にモータリゼーションの波が押し寄せると、自動車の内装に進出。1956年に日産に自動車用装飾織物を採用されたのを皮切りに、自動車の内装にトヨタなどメーカーを問わず広く採用され、現在では日本車の4台に1台は川島織物セルコンのシートが使われている。また、自動車内装の生産工場では、トヨタの改善方式を取り入れ、精密機械製造業にも引けを取らない生産性の高いシステムを構築、さらにウレタン等を使用せず織物だけでバネのような弾力性を出せ、自動車の軽量化や産業廃棄物のゼロ・エミッション化に貢献するメッシュ素材バネックスの開発など、この分野でも常に時代に応じた革新を続けている。

2008年には海外調達した温室効果ガス排出枠を使い、国内で生じたCO2を相殺する「カーボンオフセット」を業界で始めて導入、第1号商品としてオフィス向けタイルカーペットを提供するなど、新たな取り組みはさらに続いている。

伝統の技術を守り続け、次世代製品の開発に活かし続ける

技術開発型・研究開発段階

現在同社の売り上げの約60%はインテリア事業が占め、約30%が自動車関連、伝統的な西陣織は約10%である。同社は伝統の技術を守り続け、自社工場に織機を持ち、カーテンをはじめとしたインテリア関係や緞帳などを社員が織り、伝統の技術を承継している。本年2008年11月1日には天皇皇后両陛下も同社を視察されるなど、高い評価を受けている。新たな製品を開発することで過去の技術から脱皮するのではなく、伝統技術を守り続けることで、時代が求める次の製品開発への準備が行われている。

成果・実績

国内有数の総合ファブリックメーカー。2006年4月に(株)川島織物と(株)セルコンと合併。

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