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[コラム:知恵産業のまち京都(健康・医療編)] 健康と医療を支える伝統的技術

健康と医療を支える伝統的技術
 

高齢化が進む中、健康・医療への関心はますます高まっており、日進月歩の医療技術や多様化する健康ニーズに対応していくため、今までとは違った商品・サービスが求められています。これまで、私たちが大切に育んできた伝統技術や先人の知恵・・・。京都には、伝統的な技術や知識、昔から使われてきた素材に最先端の科学的知見や手法を加えることで、健康・医療市場において新たな価値を創出する中小企業が数多くあります。

京仏具の製造からスタートした二九(ふたく)精密機械工業㈱。同社の強みである、加工の難しいチタンなどの微細切削加工技術は、切削・研磨・溶接などの精緻な職人技を最新加工機械と融合させたものです。現在では、一般産業機器や半導体の部品製造に加え、血球分析装置のニードルなどでも使用されている「βチタン小径パイプ」を世界で初めて開発。同社の得意とするコア技術を医工連携分野において展開することで、時代の要請に応じた新たな製品を生み出しています。

㈱京都科学は、創業当初、理科教育用の人体解剖模型を作っていましたが、現在は医学・看護教育用の人体シミュレーターやトレーニング用人体模型の開発・製造・販売を行っています。蓄積してきた製造技術に、医療に携わる専門家の最新の知見と最先端の科学技術をプラスすることで、高度な医療手技を身につける実習が可能な教育用モデルへと事業領域を拡大。従来の人体模型の範疇に収まらない、まるで本当の患者さんと接しているかのような高機能な人体モデルを開発し、医療にかかわる人材育成をサポートしています。

「医療品」と「食」の融合という視点から様々な機能性素材を提供している㈱ファーマフーズ。飲料メーカーや菓子メーカーで採用されている機能性食品素材原料「ファーマギャバ」は、京漬物を漬け込む際に用いられてきた乳酸菌を使用して製造されています。興奮を鎮め、リラックス効果があると言われ、健康志向の消費者の支持を得ています。このほか、伏見の酒蔵で古くから使われてきた麹菌に注目し、京野菜の栄養価や摂取効率を高めることができる食品素材の研究開発にも取り組んでいます。

京都商工会議所では、伝統の技術や知恵を自社の強みへとつなげる支援を行っています。大学シーズと企業ニーズの橋渡しを行う「京都産学公連携機構」の運営、知恵ビジネスに取り組む事業者の情報提供や交流の場を提供する「知恵のチャレンジャーネットワーク」、「知恵の経営」報告書作成支援など、豊富なメニューを用意しています。京都にはまだまだたくさんの伝統的資産が埋もれています。次は、どのような技術や商品が生まれるのでしょうか。期待が膨らみます。

<紹介事例>
・二九(ふたく)精密機械工業㈱
・㈱京都科学
・㈱ファーマフーズ

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