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京都・知恵ビジネス交流会2010 開催
~京都の強み、魅力を活かしたビジネスが結集~

 去る3月10日、京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールにおいて、「京都・知恵ビジネス交流会2010」を開催しました。米アカデミー賞受賞作品「おくりびと」の脚本やテレビ番組の企画を手がける小山薫堂氏の激励講演のほか、本所が実施した「知恵ビジネスプランコンテスト」認定プランの表彰式と発表会、「知恵のチャレンジャー・ネットワーク」登録事業者によるポスターセッションを行いました。自社の強みを活かし、新たな付加価値創造にチャレンジする事業者が多数参加し、知恵ビジネスに対する関心の高さが伺えました。

激励講演

アイディアこそ、この国の最大の資源! 講師:小山薫堂 氏(放送作家・脚本家)

小山薫堂 氏  私はアイディアをビジネスにする会社を経営していますが、その発想の源は、「もったいない」という想いにあります。この「もったいない」状況を、どうすれば改善できるのか…。一つの事例をお話しましょう。今から6年ほど前、日光のある老舗ホテルを訪ねたのですが、スタッフの誰も出迎えに来てくれない。どことなく、暗い雰囲気に包まれていて、少しクレームをつけました。それをきっかけに、ホテルの社長と何度かやり取りがあった後、ホテルの改革を任されることになりました。

 アイデアの力でホテルを甦らせることができないか。私はまず、一人ひとりに「ホテルの中で一番好きな場所はどこですか?」と聞きました。すると、フロントのおじさんは「自分がいつも見ている回転扉」と答え、客室係の女性は「○○号室のゴミ箱は、とても古くて貴重です」と言いました。これらを一つひとつ写真に撮り、30種類の名刺にして、厨房にいる男の子や清掃係のスタッフなど、今まで名刺を渡す機会のなかった人にも持ってもらいました。これによって、それぞれが自分の好きな場所を再認識して、ホテルの一員だということを自覚してくれるようになりました。さらに、館内に「お客様からスタッフに声をかけて名刺をもらってください。全て集めたら素敵な写真集が出来上がります」というポスターを貼り出したところ、小さな子どもたちまで駆け寄ってきて名刺をほしがるようになりました。「自分はその名刺を持っていないけれど、総務のおじさんが持っているから紹介してあげる…」というように、スタッフ同士の横のつながりも生まれたようです。名刺にほんの少し遊び心を加えるだけで、ホテル全体の雰囲気が良くなり、社員のやる気や自覚もアップした事例です。

 もう一つ、そのホテルには、回転率が悪くて、ほとんど宿泊するお客様がいない部屋がありました。そこで、私の経営する会社が年間契約で安価に借り受けて、リノベーションしようと考えました。ここにも秘訣があって、ある雑誌とアライアンスを組んで、リノベーションの様子を毎月連載していく。例えば、ソファ。「○○社のソファは、座り心地が一番良いからこの部屋に採用することに決めました」と雑誌で紹介すれば、メーカーの皆さんは喜んで商品をプレゼントしてくれるでしょう。さらに、インターネットの宿泊予約サイトに「この部屋を独占的に予約できることを売りにしましょう!」と話を持ちかけて、リノベーション費用の半分を出してもらいました。何かと何かを結びつけたり、誰かと誰かが出会うことにより、化学反応が起こって、新しい価値が生まれる…。かつて1万2千円でも売れなかった部屋が、今では4万円を超える価格で飛ぶように売れています。

 アイデアというのは自分たちの暮らしを楽しく、豊かにしようと考えることで生まれます。まずは、京都の魅力を再発見し、有効活用して楽しむことから始めてはいかがでしょうか。

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