「人を活かす経営」で未来を拓く!~中小企業向け人的資本経営のススメ~
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テレワークの普及により、柔軟な働き方が可能になったことで、優秀な人財を確保するチャンスも広がっています。経営者の皆さんは、日頃から従業員の能力を最大限に引き出す方法や、企業の成長に向けた人財戦略の構築について考えていると思います。近年、経済産業省はこのような取り組みを「人的資本経営」と呼び、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と定義しています。ここでは企業が人財を単なる労働力としてではなく、価値を生み出す重要な資本として認識することを促しています。人的資本経営は、ここ数年で“流行った”考え方ではありません。例えば、一橋大学の伊丹敬之名誉教授は1987年に人を軸とした経営である「人本(じんぽん)主義」を唱えていました。特に老舗企業が多い京都では、従業員満足を重視した経営によって顧客への質の高いサービスを生み出し、維持・発展してきた企業が数多くあります。そういった意味では、「人的資本経営」は、非常に馴染みやすい経営スタイルであると言えるでしょう。また、企業は取り巻く経営環境の急激な変化の中で、生きていかなければなりません。まず少子高齢化の進展により、労働人口が減少していることが挙げられます。この状況は、企業が必要とする人財を確保することを難しくし、結果として人手不足が深刻化しています。特に京都の中小企業においては、地域特有の文化や技術を継承しながらも、若い人財の流出が続いているため、人的資本の価値を高めることが急務となっています。次に、グローバル化やデジタル化が進む中で、企業は競争力を維持するために、従業員のスキルや能力を向上させる必要があります。人的資本経営は、従業員の成長を促進し、企業全体の生産性を向上させる手段として有効です。特に、つまり、企業は従業員を単なるコストではなく、価値を生む「資本」として捉える必要性が高まっています。人的資本経営は、「人を活かす経営」とも言えます。企業が人財に対して適切に投資を行い、従業員の能力を高めて貴重な経営資本として捉え、活かすことは、その企業の競争力の源泉となります。このように、人的資本経営は単なる経営手法ではなく、企業の未来を切り拓くための重要な戦略です。近畿大学経営学部キャリア・マネジメント学科 准教授兼経営イノベーション研究所 准教授兼デザイン・クリエイティブ研究所 准教授 松本 誠一 氏「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」資 源は 消 耗してなくなっていくものであるが、資本は投資して高めていくものである。人材は「コスト」ではなく、「投資」。適切な投資は持続的競争優位の源泉となる。人件費ではなく人財投資中長期的な企業価値向上■ 人的資本経営とは“資源” ではなく “資本”2~中小企業における人的資本経営の重要性と 実践ポイント~1.人的資本経営とは第 1 章 人を活かす経営のススメ

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