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ヒアリングレポート34
株式会社 パールトーン

代表者 代表取締役社長 國松照朗
所在地 京都市右京区西院西中水町22
会社概要
  • 会社創業 1929年   会社設立 1958年
  • 資 本 金  5,000万円
  • 年間売上 近年は32-33億円
  • 従業員 300人
事業内容
衣服装飾品、繊維製品などの撥水加工、着物の悉皆業
WEBサイト http://www.pearltone.com/

取材日:平成21年6月30日(火)
対応者:代表取締役社長 國松照朗 、新市場開発本部副本部長 國松朗

強み

・1本1本の繊維レベルで撥水性能を発揮させる「パールトーン加工」技術を確立。繊維製品の風合いや通気性、色合、形状などを損なうことなく、高い撥水性が確保できる。また多様な繊維製品の特性に合わせての小ロットでの撥水加工が可能で、高級品やオーダーメイド商品向けなどで高い付加価値を実現。
・加工のため全国から集まる着物を、受け取りから発送まできめ細かく扱うプロセスを通じ、トータルサポートを可能とする悉皆(しっかい)業としてのノウハウの蓄積。

知恵のつかいどころポイント

軍服から着物へ、技術を生かした市場の絞込み

技術開発型・企画段階

パールトーン加工は、軍服の撥水性を確保するために1929年に開発された独自技術。高い性能が評価され、当初から呉服店との取引があった。呉服店との取引の拡大にしたがい、1958年に東京に進出して会社設立。技術の最大の特徴を活かせる市場が着物であり、最大市場は京都であること、また京都企業からの要請もあり、1961年に本社拠点を京都に移し、以降、呉服店などから着物の撥水加工を請け負うことで業績を拡大してきた。

継続的な研究開発による撥水性能向上と新市場創出

技術開発型・研究開発段階

パールトーン加工は、複数種類の薬剤を最適に配合した特殊溶剤をつくり、一定の条件化で繊維製品に浸透させる技術であるが、新薬剤の開発、浸透方法の向上などを通じ、撥水性能を継続的に向上させてきた。現在では洋服、革製品、バック、靴、カーペット、畳など、多様なメーカーなどからの要望にも合わせ、年間15件ほどの新規対象物での撥水加工方法の研究開発を行い、新分野での市場を開拓しながら技術を蓄積させている。

消費者認知度を向上させ、川下から川上へのニーズの波及

技術開発型・流通販売段階

「雨に濡れる」「シミになる」など、通常の着物を着るときの不安を解消し、「安心きもの」をつくる優れた技術であるが、当所から業界で幅広い評価を得られたわけでない。そこで、消費者の認知度を高めることが先決と考え、利益の10%を広告費に費やすなど広告宣伝に注力し、消費者から呉服店などに対して「パールトーン加工してほしい」という要望を増やすことにより、業界全体としてのニーズを拡大した。

関連サービスの提供による新市場創出

技術開発型・企画段階

需要拡大により、着物を中心に年間に70万点の多種多様な商品が、加工のために集まることになったが、例えば反物を送ってくる顧客には、着物への仕立てを、汚れのある着物は染み抜きを行うなど、新たな関連サービスを提供している。

成果・実績

・極めて高い防汚性、耐水性が要求される分野で多数採用:清水寺・青(せい)龍会(りゅうえ)の加工奉納など。
・和装市場が停滞傾向のなかでも堅実な成長を遂げ、きもの総合加工業界では2番手以下を大きく引き離すトップ企業の地位を確立し、いまなお安定的な企業経営を実現。

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