「知恵の経営」報告書とは

活用事例

「知恵の経営」報告書作成で見える、「これまで」と「これから」

「知恵の経営」報告書作成の事例紹介
1.事業承継の準備

「初代から受け継がれてきた思いも一緒に引き継ぎました。」

株式会社河波忠兵衛代表取締役 河波 忠兵衛、作成担当者 河波 舞(平成28年10月26日認証)

株式会社河波忠兵衛

「知恵の経営」報告書作成を通じて、創業1777年(安永5年)からの歴史を初めて文章化しました。
「知恵の経営」報告書は、代表者の娘である私が家業を継ぐことを決め、河波忠兵衛へ転職して3年目の時に取り組みました。

私と父は普段から良く会話をするため、自社の歴史や、先人たちが築き上げた信頼、実績などについて、ある程度把握しているつもりでしたが、実際に取り組むと知らないことが多くありました。
そして「知恵の経営」報告書の作成は、単に歴史を知られただけではなく、先人への感謝の気持ちを持つための取り組みにもなったと思っています。
もちろん、お客様、従業員、お寺、職人の皆様などに支えられていることも再認識し、改めて感謝する機会にもなりました。

先人の思いをしっかりと引き継ぎ、「知恵の経営」報告書で設定した「今後の目標・取り組み」を実現できるように、日々努力してまいります。

2.新事業展開

「自社の強みを再認識し、自社の目標であった新事業を展開しています。」

株式会社デザインハウス風代表取締役 松井 啓介(平成28年3月31日認証)

株式会社デザインハウス風

当社は、社内デザイナーが制作したプリント染色デザインを、京都を中心とした国内の染工場との協業により、日本各地で作られる高品位な生地に染め上げ、プリントテキスタイルとして完成させ、アパレルメーカーなどにOEM供給しています。

創業者である父の夢は、「京都をフランスのリヨン、イタリアのコモに並ぶ高級プリント服地の産地にする。」ということでした。
海外生産の廉価品が市場を席巻する昨今、日本の優美で繊細な感性を持ったデザインの製品を、この京都の地から発信していきたいと考えています。このような「思い」を社員のみならず、協業するパートナーの皆さんと共有するために、「知恵の経営」報告書の作成に着手しました。

「知恵の経営」報告書の作成では、自社の強みを言葉として落とし込むことで、経営を預かる身として多くの気づきがあり、ビジョンや価値を社内で共有でき、完成した「知恵の経営」報告書をベースに、これからの取り組みを考えていけるようになりました。

今後は、OEM事業で培ったノウハウを生かし、自社ブランドでのストールやTシャツの開発など、商品の横展開で新たな市場を開拓したいと考えています。
平成29年2月には近畿経済産業局の「地域産業資源活用事業計画」の認定を受け、京都の生産工場と共に、欧州ファッション市場に向け、オリジナルの高級プリント生地や製品の開発・販売に向けて動き出しました。
当社の「夢」の実現に向け、着実な前進を続けています。

3.新事業展開の土台作り

「知っているつもりで知らなかった社員の取り組みを知る機会になりました。」

株式会社デリバリーサービス代表取締役社長 山田博彦(平成28年3月31日認証)

株式会社デリバリーサービス

知恵の経営に取り組んだ一番の成果は、社員の日頃の取り組みを詳しく知ることができたことです。
当社では、年に一度、従業員の家族も参加可能な「家族会」や、関連会社の社員も含めた忘年会を開催していることから従業員との会話も多く、現場のことも把握していると思っておりました。

しかし、実際に「知恵の経営」報告書の作成にとりかかるとわからないことが多く、社員に聞いて回ると、私がこれまで知らなかった努力や改善に取り組んでいることを知り、改めて社員に感謝する機会となりました。

当社は、平成28年3月に京都市南区吉祥院に新たに京都営業所を新設したところです。今回、知恵の経営の取り組みで再認識した「従業員の日々の取り組み」をはじめとする知恵を活かし、また、経営理念の「日々の業務に心を添え、物を運ぶ事を通して地域や企業の応援をします」に基づき、新たな事業展開に取り組んでまいります。

「知恵の経営」報告書には、どんなことを書くの?

「知恵の経営」報告書の内容

もし、財務諸表の様式がバラバラでは、読み手に混乱を生じてしまいます。
そのため経済産業省では平成17年10月に『知的資産経営ガイドライン』を発表し、「知的資産経営」報告書の作成内容に関して、一定の指針を示しています。

また、京都府では国のマニュアルをベースとしながら、小規模企業の皆様にも使いやすく構成した
知恵の経営報告書―作成ガイドブック―」公開しています。

「知恵の経営」報告書に記入する内容には、大きく3つの特徴があります。

  • (特徴)
  • 企業がどのように価値や利益を生み出しているか、分りやすいストーリーで示すこと
  • 過去を踏まえ、将来の見通しを示すこと
  • 信憑(ぴょう)性を高めるために、裏付けとなる定量的な指標があること
具体的に、どんなことを書くの?

一例として、以下のような項目で記載されます。

項目 内容
企業概要
商品・サービス(全般)
企業概要及び、自社の「商品・サービス」の紹介により事業の概要を示します。
また、企業の活動を分りやすく伝える上で、商品・サービスを提供する流れをまとめると良いです。
例えば製造業の場合、注文を受けてから納品するまでの流れを整理すると、自分たちは当たり前のように毎日やっていることが、実はお客様にとても喜んでもらえる取り組みであったなど、日々の活動の中にある「強み・知恵」に気付くこともあります。
沿革(過去) 自社がどのようにして、発展・継続してきたのかを振り返ります。
創業当時の思い(先代の思い)や、長年の付き合いがある取引先や、そしてこれまでどのように事業展開を行ってきたのかなどを「沿革」としてまとめる中で、自社の「強み・知恵」の源泉となっている要素を見つけます。
強み・知恵
(過去~現在)
沿革や商品・サービスをまとめた中から、見えてきた「強み」のほか、競合他社と自社を比較して見えてきた特徴(優位性)などを「強み」としてまとめます。
一つひとつの取り組みは小さなことでも、それらが集まることで、自社ならではサービスになっているなど、これまで気づかなかった「強み・知恵」を見出すこともあります。
今後の展開
(現在~将来)
強み・知恵を踏まえた上での今後の展開を検討してまとめます。
売上目標額のような数値目標だけではなく、新事業展開、取引先との関係性を強化するための取り組み、従業委員の雇用、社内のコミュニケーション充実化など、さまざまな視点から検討します。

分量は、A4サイズの用紙で、約20~40ページになりますが、自社の歴史、商品・サービスなどと、とことん向かい合うことで、自社の真の「強み・知恵」に気づき、今後の方向性を明らかにすることができます。

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