京都創造者大賞 2010
各賞受賞者
京都創造者大賞
株式会社松竹京都撮影所/東映株式会社京都撮影所
「『日本映画発祥の地』京都から、日本の映画文化・産業の発展と継承に寄与」
<<株式会社松竹京都撮影所>> | |
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・1923(大正12)年 | 松竹下加茂撮影所として開設。 一旦閉鎖後1926年に再オープン |
・1952(昭和27)年 | 太秦に移転し「松竹京都撮影所」と改称 |
・2006(平成18)年 | 学校法人立命館、松竹株式会社と 産学連携基本合意書を締結 |
・2009(平成21)年 | 立命館大学との共同スタジオオープン |
・2010(平成22)年 | 立命館大学と共同で地元商店街を舞台にした 「京都太秦物語」(山田洋次監督)を製作協力 |
【主な受賞歴】 | |
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・1995(平成 7)年 | 第18回日本アカデミー賞最優秀作品賞「忠臣蔵外伝四谷怪談」 |
・2003(平成15)年 | 第26回日本アカデミー賞最優秀作品賞「たそがれ清兵衛」 |
・2004(平成16)年 | 第27回日本アカデミー賞最優秀作品賞「壬生義士伝」 |
【事業内容】
前身の松竹下加茂撮影所が大正12(1923)年に京都市下加茂に開設されて以来、約90年の歴史の中で、松竹傍系の京都映画との統合等を経て、映画史に残る時代劇や伝説となった必殺シリーズなど多くの人気映画・テレビ番組を世に送り出し、日本映画の発展を支えてきた。
立命館大学、京都府、松竹との産学公連携協定の締結や、立命館大学との共同スタジオの整備、地元商店街を舞台とし、学生も製作に参加した映画「京都太秦物語」の製作協力など、年月に培われた確かな技術をもとに、地域と一体となった新しい時代の映像づくりを担う人材の育成や、映画・映像技術の研究開発に積極的に取り組んでおり、「日本映画のふるさと・京都」の歴史と伝統を守り、映像文化・産業の振興を目指した活動を続けている。
<<東映株式会社京都撮影所>> | |
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・1951(昭和26)年 | 東映株式会社京都撮影所 誕生 |
・1958(昭和33)年 | 初のテレビ映画「風小僧」製作 |
・1975(昭和50)年 | オープンセットを開放しナマの撮影現場を見せる東映太秦映画村開設 |
・1995(平成 7) 年 | 平安建都1200年記念事業に参加 特別表彰 |
・2001(平成13)年 | 創立50周年記念映画 「千年の恋・ひかる源氏物語」製作封切 |
・2005 (平成17) 年 | 終戦60周年を記念 「男たちの大和/YAMATO」製作、大ヒット |
・2006(平成18)年 | 京都府産業功労者表彰(岡田裕介社長) |
【主な受賞歴】 | |
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・1984(昭和59)年 | 第29回アジア映画祭最優秀作品賞「序の舞」 |
・1986(昭和61)年 | 第9回日本アカデミー賞最優秀作品賞「花いちもんめ」 |
・1987(昭和62)年 | 第10回日本アカデミー賞最優秀作品賞「火宅の人」 |
・1992(平成 4)年 | 文化庁 優秀映画作品賞「福沢諭吉」 |
【事業内容】
東映の撮影所としては約60年、「阪妻プロ太秦撮影所」の設立から数えると80年余の歴史を有する。
日本国内で稼動している撮影所の中で最大の敷地面積を持ち、企画、製作、配給興行まで一貫製作できる唯一の撮影所として、「時代劇」を中心に多くの日本映画の傑作を生み出している。
また、大道具、小道具、衣装、結髪、殺陣など映画づくりを支える職人の技・ノウハウの継承に注力するなど、映像文化、時代劇文化の継承発展に努める。
隣接する東映太秦映画村や(株)松竹京都撮影所とともに太秦における映像コンテンツ産業の集積の中核拠点として、デジタル化への対応や、ゲームやアニメといった他のコンテンツ産業との連携・融合にも積極的に取り組んでいる。伝統と革新を併せ持つ京都の感性やものづくり技術など京都に蓄積されている資源を生かし、京都発の映画・映像を国内外に発信している。
【審査講評】
『太秦』を拠点とする両撮影所は、京都、ひいては日本の映画産業を長年にわたり支えてきた。高度な感性、技術力によって京都の映画の発展に寄与し続けてきたことに加え、近年、取り組んでいる産学連携や若手クリエイターの育成など、時代のニーズにあわせた活動で「映画都市・京都」の継承を図っていることも高く評価した。今後とも、日本の映画文化や映像産業の発展・継承のために更なる飛躍を期待したい。
京都創造者賞
もてなし・環境部門
伊根浦舟屋群等保存会
「重要伝統的建造物群保存地区である伊根浦舟屋群の景観保全のための活動と伊根湾の美化活動」
・2003(平成15)年 | 設立 |
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・2005(平成17)年 | 国の重要伝統的建造物群保存地区に選定 |
事業: |
ベイエリアフェスティバル(舟屋に提灯掲楊) クリーンキャンペーン(海上清掃) 花いっぱい運動 |
【事業内容】
伊根浦舟屋群を国の重要伝統的建造物群保存地区選定に申請するため、200名以上の会員が集まり同会を設立し、2005(平成17)年7月に全国で漁村として初めて選定を受けた。
舟屋等の修理を毎年10棟以上行うとともに、観光事業の推進、町並み美化運動にも取り組み、舟屋群等の景観が一層魅力的なものとなり継承されるよう、活動を行っている。
【審査講評】
「伊根浦は一つ」という住民の保存への熱意や意識の高揚等により保存活動への取り組みを始め、ゼロから保存会設立を果たした。保存会設立から、町並みの美化運動や観光振興等、これまでの地道な活動を評価し、もてなし・環境部門での創造者賞とした。
全国でも類をみない歴史的風致である舟屋群の町並み景観を守り、後世に伝えて頂きたいという願いも込めての授賞である。
アート・文化部門
西日本旅客鉃道株式会社
「和装と洋装が競演するファッションショー
『Fashion Cantata from KYOTO』の提供を通じて、
京都のファッション産業と観光産業の振興に貢献」
・1992(平成 4)年 | 第1回「Fashion Cantata」を開催 |
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・1993(平成 5)年 | タイトルを「Fashion Cantata from KYOTO」とし、 第2回を開催 |
・1996(平成 8)年 | 京都府・京都市との共催を開始 |
・2010(平成22)年 | 初の屋外開催とし、大覚寺を会場に実施 |
【事業内容】
「Fashion Cantata from KYOTO」は、京都の伝統的な服飾文化を世界に発信することを目的としたファッションショーで、ファッションカンタータ開催委員会(14団体で構成)・京都商工会議所が主催し、これまでに18回開催している。毎年一般公募により数千名を招待し、京都の服飾産業をアピール。京都の上品で雅やかな和装文化と有名ブランドによる洋装文化との交流・融合を図り、和装の魅力を広く情報発信している。今年は大覚寺にて初の屋外開催を実施した。同社は第1回より継続して本事業を提供している。
【審査講評】
関西の代表的なファッションショーとして定着してきた「Fashion Cantata from KYOTO」を、1992年より長年にわたりスポンサーとして支え、京都の和装産業の振興のみならず、観光振興にも大いに貢献してきた。この活動は京都の都市格の高さを発信するものとして高く評価し、アート・文化部門での創造者賞とした。今後も京都の諸産業振興のために、この素晴らしい取り組みを支援し続けて頂きたい。
企業部門
京阪電気鉄道株式会社
「京都と大阪間を鉄道で繋ぎ、100年の永きにわたり地域社会の発展に大きく寄与」
・1906(明治39)年 | 創立 |
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・1910(明治43)年 | 開業 大阪・天満橋-京都・五条間 |
・1910(明治43)年 | 第1回菊人形を香里遊園地で開催 |
・1915(大正 4)年 | 五条-三条間延長 |
・1963(昭和38)年 | 淀屋橋-天満橋間延長 |
・1987(昭和62)年 | 東福寺-三条間連続立体交差・地下化工事完成 |
・1989(平成元)年 | 鴨東線(三条-出町柳間)開通 |
・2000(平成12)年 | 「京阪のる人、おけいはん。」キャンペーン開始 |
・2006(平成18)年 | 会社創立100周年 |
・2008(平成20)年 | 中之島線(中之島-天満橋間)開業 |
・2008(平成20)年 | 京都市内3駅の駅名変更 (清水五条、祇園四条、神宮丸太町) |
・2010(平成22)年 | 開業100周年 |
【主な受賞歴】 | |
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・1996(平成 8)年 | グッドデザイン賞(宇治駅) |
・2008(平成20)年 | 大阪商工会議所「大阪活力グランプリ」 |
・2008(平成20)年 | 関西元気文化圏賞「ニューパワー賞」(中之島線) |
・2009(平成21)年 | メセナアワード「文化庁長官賞」(なにわ橋駅「アートエリアB1」) |
・2009(平成21)年 | グッドデザイン賞(3000系車両、中之島線各駅) |
【事業内容】
渋沢栄一を創立委員長に明治39年に創立、「地域社会の発展に寄与する」という発想のもと、明治43年に京街道沿いに鉄道営業を開始して、今年で100周年。交通ネットワークの拡充とともに、不動産、流通、レジャーなど、暮らしに密接した事業を展開することで、快適な生活環境づくりを行ってきた。また、京都をはじめ、沿線の魅力のPRには開業以来、力を注いでいる。
「道徳経済合一説」を唱えた渋沢栄一のDNAを受け継ぐ同社は、今後も地域社会との共生・発展を目指している。
【審査講評】
京都と大阪間をいち早く鉄道でつなぎ、100年の永きにわたり多くの利用者の生活を支えるとともに、沿線のまちづくりにも積極的に取り組み、地域社会の発展に大きく寄与。また2008年に「祇園四条」や「清水五条」など駅名に観光地名を入れ、京都を訪れる観光客の利便性を向上させた。これまでの様々な活動実績を高く評価し、企業部門での創造者賞とした。
今後も沿線の魅力発掘やPRに注力され、京都の発展につながる活動に期待したい。
未来への飛翔部門
ロボットクリエイター 高橋智隆(株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長)
「独創的・先進的なロボットの開発により京都の叡智を世界へ広く発信」
・1998(平成10)年 | 立命館大学産業社会学部卒業 |
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・2003(平成15)年 | 京都大学工学部物理工学科メカトロニクス研究室卒業 |
・2003(平成15)年 | 会社設立(京都大学学内入居ベンチャー第1号) |
・2004(平成16)年 | 「クロイノ」が米国タイム誌の「最もクールな発明」に選定 |
・2005(平成17)年 | ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定 |
・2006(平成18)年 | 世界初(自社調べ)の女性型二足歩行ロボット「FT」を開発 |
・2008(平成20)年 | 「エボルタ」によるグランドキャニオン登頂に成功 |
・2009(平成21)年 | 「エボルタ」によるルマン24時間耐久走行に成功しギネス 世界記録認定 |
・2010(平成22)年 | 東京大学特任准教授に就任し先端研内に研究拠点を開設 |
【主な受賞歴】 | |
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・2003(平成15)年 | NBK学生ベンチャー大賞 |
・2004(平成16)年~2008(平成20)年 | 5年連続ロボカップ世界大会優勝 |
・2004(平成16)年 | 大阪商工会議所「大阪活力グランプリ」(Team OSAKA) |
・2006(平成18)年 | 関西元気文化圏大賞ニューパワー賞 |
・2008(平成20)年 | リプトンひらめきIST AWARD2008 |
・2010(平成22)年 | 関西財界セミナー賞2010特別賞 |
・2010(平成22)年 | 朝日21関西スクエア賞 |
【事業内容】
ロボットクリエイターとしてロボットの開発・設計・デザイン・製作・発表を一貫して手掛ける。運動性能とデザイン性を両立した小型ヒューマノイドロボットを生みだし、ロボット本格実用化時代の実現を目指す。代表作に「ロピッド」「クロイノ」「FT」「エボルタ」「VisiON」「マノイPF01」「Gabby」など。2008年には源氏物語千年紀イベント用に「MURASAKI」を開発。また、小学生対象のロボット教室を全国で展開し、講演活動、メディア出演等幅広く活動し、 京都から世界に向けて「ロボットと暮らす未来」のコンセプトを提唱している。
【審査講評】
京都大学在学中に2足歩行ロボットを発明し、2003年卒業と同年に、京大ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーの学内入居ベンチャー第1号として会社を設立。国内外で数々の受賞歴があり、そのグローバルな活躍は、世界でも評価が高い。新進気鋭の若手ロボットクリエイターとして独創的かつ先進的なロボットの開発により京都の叡智を世界へ広く発信している活動の更なる活躍にも期待し、未来への飛翔部門での創造者賞とした。
応募状況
募集期間:平成22年4月1日(木)~5月31日(月)
271件(自薦 75件 / 他薦 196件)
もてなし・環境部門 | 61件 | (自薦12件/他薦49件) |
アート・文化部門 | 92件 | (自薦31件/他薦61件) |
企業部門 | 71件 | (自薦22件/他薦49件) |
未来への飛翔部門 | 47件 | (自薦10件/他薦37件) |
選考状況
・選考委員会 平成22年6月25日
・顕彰委員会 平成22年8月12日
授賞式
・日 時 | 平成22年9月2日(木) 午後2時~同4時30分 |
・会 場 | 立命館大学 朱雀キャンパス (京都市中京区西ノ京朱雀町1番地) |
・プログラム |
ハープ演奏 | 内田 奈織 氏 | |
開会の辞 | 京都創造者大賞顕彰委員会 委員長 千 玄室 | |
講評 | 京都創造者大賞選考委員会 委員長 芳賀 徹 | |
記念講演 | 「想像から生まれる創造」 瀬戸内 寂聴 氏 |