Q 商工会議所とのお付き合いはいつごろからですか?
吉川さん 父の時代から入会していますが、商工会議所の事業にかかわるきっかけは20年位前のことです。和装産業の青年部組織「京都染織青年団体協議会」のメンバーとして和装振興イベントに参画・協力しました。その後、業界全体の業況は改善の兆しが見られず、何か新しいことに挑戦せずにはいられないと思い海外販路開拓事業に参加しました。
Q 具体的な事業内容を教えてください。
吉川さん 「京都ブランド」の海外市場を開拓する「Kyoto Connection」事業です。パリで開催される「メゾン・エ・オブジェ」に出展し、京友禅のデザインを生かした金属パネルを海外の皆さんにアピールしました。
Q 反響はいかがでしたか?
吉川さん 室内装飾として出展しましたが、お客様にどのように訴えかければよいのか模索しながらの状態で、また初めての取り組みにネットワークもなかったため反応はありませんでしたが、2年目で、会場でお客様の反響が感じられるようになりました。そして3年目の出展後、アメリカのお客様が商談のために京都にお越しになりようやく成果が出たのです。
Q大変ご苦労なさったようですが、出展の意義をどのように感じておられますか?
吉川さん 出展して直ちにビジネスにつながるということは難しいかもしれませんが、我々のような事業者にとってパリに赴いて雰囲気や空気感・トレンドを肌で感じることは非常に重要です。また、出展に際しては、商工会議所の専門家から会場での商品の見せ方や展示方法について丁寧に助言をいただきました。
バイヤー目線での指摘は私たちが気付き難いので大変助かりました。また、出展の影響で、後に日本橋三越さんから声をかけていただき、当社の製品をラクジュアリーフロアに出展しました。
また、近年は、京友禅のデザインを表現した高級チョコレートの製造・販売を開始しました。今も、今年のバレンタインに向けて最終調整を行っているところです。JR京都伊勢丹で取り扱っていただきます。(2017.1.27取材時)
京友禅の市場が縮小する中、新しい取り組みを収益事業に成長させ、和装部門に還元し、後世に京友禅のすばらしさを伝えていきたいです。
Q 京都商工会議所に期待されることは何ですか?
吉川さん 私自身の経験ですが、20年前に一緒に仕事をするまでは、商工会議所は大きな企業のあつまりだと思っていました。実際に関わってみると、小さな事業所向けにさまざまな事業を展開されていて、利用されている事業所も多いことがわかりましたが、あまり表に出ていない感があります。
もっと積極的に発信すれば、自分も相談したいという経営者が増えるとおもいます。企業のニーズはさまざまですが、経験とネットワークできめ細やかなサポートが出来るのが商工会議所の魅力だと思いますので、地域の事業者のために発信力を強化してほしいと思います。
取材日:2017.1.27