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株式会社 堤淺吉漆店 代表取締役 堤 孝さん 専務取締役 堤 卓也さん

漆の魅力を伝えるはじめの一歩

経営支援員の「共感力」が魅力です。

Q 御社の事業内容を教えてください。

堤さん 当社は、採取された漆樹液(荒味漆)を仕入れ、生漆精製から塗漆精製、調合、調色を一貫して自社で行う、漆のメーカーです。創業は明治42年になります。

Q 御社の独自技術について教えてください。

堤さん 漆の精製技術の開発に積極的に取り組んでいます。漆の粒子をきめ細かく練り上げ完成させた「光琳」は、耐候性や速乾性に優れ、姫路城や日光東照宮など多くの文化財の修復に幅広く使用されています。

Q 漆と一口に言っても奥が深いんですね。

堤さん 漆器に漆を塗る場合は、時間をかけた丁寧な作業が求められるため、乾きが遅い漆を使用しますが、神社仏閣で使用する場合は、現場作業となり、塗った漆が流れないようするため、乾きが早い漆を使用します。どのような漆が求められるかは、お客様一人ひとり異なりますので、ニーズに合う漆材料をオーダーメイドで提供しています。

Q 業界の現状について教えてください。

堤さん ここ数十年間で、漆の生産量はどんどん減ってきました。国内漆の生産量だけでなく、中国からの漆の輸入量も激減している危機的な状況です。漆の樹皮に傷をつけて、にじみ出る生漆をへらでかきとって採集する「漆掻き」と呼ばれる職人さんは、70代から80代の方々がまだ現役で活躍されているような状況です。年々、漆そのものをつくることが難しくなってきており、私自身、厳しさを肌で感じております。

Q 危機的な状況ですね。

堤さん 家庭や学校ではプラスチックの食器が多く使われ、暮らしの中で漆器を手にする機会が少なくなりました。漆に対するイメージは、美術品や伝統工芸に代表されように、日本文化に継承されるべきものと考えられていますが、「日常生活からは遠い存在」になってしまいました。私は、世間の皆様方に漆をもっと身近なものとしてとらえていただきたいと強く感じています。

Q 漆の普及活動をされていると伺いました。

堤さん 漆の持つ可能性や魅力を伝えるために、「うるしのいっぽ」という活動を開始しました。このプロジェクトの第一弾として、ずっと考えてきた想いをぎゅっと一冊にまとめ、「うるしのいっぽ vol.0」を作成しました。この冊子には、漆の木を育て、漆を採り、製品として販売されるまでの各工程を紹介するほか、各工程に携わる職人の思いを掲載しています。また、京都市内の幼稚園で給食の際に、当社の漆を使った漆器を使用いただいているのですが、漆器を大切に使用する園児たちの心、剥げても壊れても修復して繰り返し使う取組などを紹介しています。

Q 「うるしのいっぽ vol.0」をどのような場所に配布しましたか。

堤さん 子ども、お父さん、お母さんに見ていただきたいので、学校等を中心に配布しました。当初、補助金を活用して、1,000部を作成しましたが、その反響は大きかったです。既に増刷しており、外国人向けに英語版も作成しました。

Q 補助金の情報はどこから入手したのですか。

堤さん 京都商工会議所の経営支援員から補助金の情報を教えていただきました。知り合いの紹介で、京都商工会議所 洛央支部に連絡したのですが、会員になる前から色々情報提供いただきました。嬉しかったのは、漆業界の現状を理解いただいただけでなく、私の思いに共感いただいたことです。

Q 漆とスポーツとコラボレーションした取組をしていると伺いました。

堤さん 2020年の東京オリンピックで、サーフィン、自転車競技などが新たな種目に選ばれました。これをきっかけに、新たな補助金を活用して「漆エクストリームスポーツプロジェクト~東京五輪種目×漆」という取組を始めました。海外で活躍するアーティストたちとコラボし、私たちの漆を使ってデザインしたサーフボード、BMXなどの魅力を映像で発信しようというもので、今まで漆に関心のなかった若い世代に訴えかけることで、エクストリームスポーツと漆を掛け合わせた新しい文化の創出を狙っています。

Q 壮大なプロジェクトですね。

堤さん 自身のアイディアを、事業の目的、具体的な内容として、計画として明文化するのに苦労しました。いわゆる経営計画と呼ばれるものです。活用できる補助金情報を経営支援員からタイミングよくいただいたので、申請にチャレンジすることにしました。経営支援員から、経営計画や補助金申請書のアドバイスをたくさんもらったため、無事採択されました。朝早くから、経営支援員と打合せをしたこともありましたね。

Q 今後の目標を教えてください。

堤さん 漆の価値をもっと多くの方々にご理解いただきたいですね。漆の世界は、「漆掻き」やその漆を使って商品に仕上げていく「塗師」など、多くの職人の手によって支えられています。当社だけが成長・発展するのではなく、京都の漆職人さんたちも潤うように、業界全体が活性化するような仕組みをつくっていきたいですね。これからも京都商工会議所のきめ細やかな支援を期待しています。

平成30年度 伴走型小規模事業者支援推進事業

取材日:2018/8/8

企業DATA

株式会社 堤淺吉漆店
◉住所:京都市下京区間之町通松原上ル
◉電話番号:075-351-6279
◉事業内容:日本産・中国産漆の精製卸・小売、漆器及び漆器等木地販売 等
◉Website :http://www.kourin-urushi.com/
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