Q 御社の事業概要について教えてください。
山田さん 当社では、婦人服地を染色加工したり、自社オリジナル商品を製造・販売しています。様々な生地素材に適した染色方法の多様なニーズに対して、「果敢にチャレンジ」の精神で取り組んできました。
Q 御社が持つ技術の特徴について教えてください。
山田さん 職人の「手捺染(てなっせん)」の技術を活かした、水彩画のような色の滲みと重なりが美しい「水ぼかし」と呼ばれる技術が、当社の強みです。これまで、「水ぼかし」は、加工の時期や条件によって品質にバラツキが生じるため、非常に難しい技術とされてきました。当社では「水ぼかし」に適した糊や染料を独自開発したり、温度、湿度、蒸し工程等を徹底的に管理することで、生産現場でのロスを徹底的に減らすことに成功しました。
Q 御社のブランドについて教えてください。
山田さん 今から5年ほど前、「手捺染」にこだわった自社ブランド「nenari」を立ち上げ、ポップで明るい色柄のストールや手ぬぐいを豊富に揃えました。
特に、シルクのストールは、一般的には厚さ10匁以上の生地で染めることが多い中、染めムラや汚れが生じないよう特別な工夫を行って、わずか6匁の極薄、軽量な生地を使用しているのが特徴です。
Q ストールの反響について教えてください。
山田さん このストールを百貨店などの催事に出展したり、オンラインで販売したところ、若い女性層を中心に大変人気がありました。現在では市内のセレクトショップや観光土産店などで、取り扱いが広がっております。
Q 「知恵の経営」報告書作成のきっかけについて教えてください。
山田さん 新規事業の方向性、展望、方針を具体化することができるので、報告書の作成を決意しました。
執筆を進めるうちに情報が膨大になり、報告書全体を俯瞰してみることが難しくなり、一時期、執筆の方向性がわからなくなりましたが、経営支援員、専門家(中小企業診断士)の客観的なアドバイスのおかげで、報告書を書き上げることができました。「知恵の経営」の認証を受けられて、本当に良かったです。
Q 「知恵の経営」報告書の効果について教えてください。
山田さん 「知恵の経営」報告書の認証の結果、自社の強み等を取引先に理解いただいたことで、当社の信用力がアップしたと感じております。
また、報告書の作成を通じて、自社にしかない強みや知恵を棚卸しすることで、自社の新しい可能性や方向性を見出すことができたと実感しています。
Q 京都商工会議所の魅力や今後期待することについて教えてください。
山田さん
経営支援員による取引先とのマッチングが挙げられます。「ある企業が生地を探している」との経営支援員からの情報がきっかけとなり、当社が生地を供給することになりました。商談前に、当社の生産量、リードタイム等の供給能力面を事前に整理するよう助言されるなど、経営支援員から細かなフォローがありました。
今後、京都商工会議所には、個別企業とのマッチングの機会をたくさん設けてもらいたいです。取引相手に、当社の技術や製品に加えて当社自身のことをキチンと理解いただいていないと、商談はうまくいきませんので、仲介者としての経営支援員の存在は大きいです。今後も、引き続き協力を得たいと思います。
平成29年度 伴走型小規模事業者支援推進事業
取材日:2017/11/28