Q 御社の事業内容を教えてください。
阪田さん 子ども達が身体を動かすことを「楽しい」と感じることができる、「リーベ式運動あそび」を3つのプログラムで提供しています。一つは、我々スタッフが直接こども園や幼稚園などに行き、子ども達と一緒に遊ぶ「直接指導プログラム」。保育士さんなど先生を対象に、先生自身が保育に活かせる気付きを楽しみながら得られる体験型の「保育者研修プログラム」、専門の遊び道具がなくとも身近な物を使って親子で楽しく遊ぶ方法を体験、また今すぐ始められる子どもの身体づくりと題した講演会などの「親子プログラム」を日本全国のこども園や保育園などで実施しています。
Q 事業を始めたきっかけを教えて下さい。
阪田さん 京都市内の小中学校で保健体育教師として勤務していた頃に、運動嫌いの児童・生徒が多く、小さい頃に嫌いになっている子が多いことが分かりました。
幼児の頃から身体を動かすことを楽しいと感じることが、子どもの運動嫌いを予防します。そして楽しいと感じるには、例えば鉄棒や跳び箱などのように、「出来る・出来ない」といった成果が見えることで、必要のない劣等感を感じさせるプログラムを提供するのではなく、子どもたちが「楽しい」と笑顔になり、いつの間にか身体全部を使って動いてしまうような、そんな運動あそびを提案できないかと思ったことが、「リーベ式運動あそび」を考えるきっかけになり、起業へと繋がりました。
Q 「リーベ式運動あそび」とは。
阪田さん もともと自分のなかに「楽しいの中に育ちがある」の想いがあり、「楽しいか、楽しくないか」だけを基準にあそびのコンテンツを創ってきました。それを突き詰めた結果、単なる幼児向けの体操教室とは違う、特質化したプログラムにも繋がり、同業他社との差別化も図ることが出来ました。
子どもたちが、気付けば夢中になって身体を動かすことが出来るよう、①ストーリー性のある展開、②全員が時間いっぱい動き続ける展開、③誰もが主役になれる認めポイントの3つの仕掛けを日々、スタッフとともに磨き、実践しています。
積極的に動くことが好きな子もいれば、のんびりと自分のペースでゆっくり動く子、発達段階の違いなど、ひとりひとり個性があります。無理にみんな一緒の行動をさせるのではなく、それぞれのペースで、その個性が活かされ輝く空間づくりを心がけています。そして、この運動あそびは、子どもだけではなく、大人も一緒に楽しみ、大人の「楽しい」も掘り起こす(思い出す)、そんな想いも含んでいます。
Q 京商を活用されたきっかけを教えて下さい。
阪田さん コンサルタントの方から、将来的に事業を拡大していくことや、そのための資金繰りや経営方法などについて、一度、商工会議所に相談してみてはどうかとアドバイスを受けたことが、京商を知り、活用するきっかけとなりました。
経営支援員からのアドバイスを受けながら、小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)による運転資金の確保や高度支援事業による専門家派遣を受け、事業拡大のために認知度をどのようにして向上していくのかなど、多様な助言を得ました。その中でも特に、「小規模事業者持続化補助金」の交付を受けて、HPの改修をしましたが、HP改修だけではなく、何のために改修するのか、何を柱において、どうやって閲覧者に自分たちの事業を伝えるのか、ブランディングの部分をしっかりと確立させて改修できたことにより、それまで年数回だった問い合わせが一気に増え、その中から契約に繋がったところも多くあります。
Q 今後の目標を教えて下さい。
阪田さん 子どもたちが楽しむことはもちろんですが、大人にも楽しんで欲しいという思いを同じぐらい強く持っています。保育士など保育に関わる保育者は非常に大切な仕事ですが、離職率が高いことが業界の問題になっています。なかなか園の外に出たり他の状況を知る機会が少ない先生たちや、これから保育士を目指そうと思っている学生などに対して、他の園の取り組みや園の素敵な先生のインタビュー掲載など、情報が集まるプラットフォームのような場を作りたいと思っています。先生も子ども達と一緒に楽しんで良い、自分たちも楽しいと気づくきっかけになるような環境を、関係者の方々からの協力を得ながら「楽しく」これからも続けていきたいです。
令和元年度 伴走型小規模事業者支援推進事業
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