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メールマガジン 過去分の掲載(第116号)後継者が新事業を創出する

2020/11/26

京都府事業引継ぎ支援センターでは、 メールマガジンを配信しています!
過去に配信したものをこちらでお読みいただけるように掲載していきます。
是非、ご一読ください。

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・・・・・事業引継ぎの現場から・・・・・
【京都府事業引継ぎ支援センターマネジメントレター】 
第116回配信分2020年11月26日発行
後継者が新事業を創出する
(京都府事業引継ぎ支援センター 統括責任者 成岡 秀夫)
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<はじめに>
・京都市の中小企業支援政策のひとつに「オスカー企業認定制度」というのが
ある。相当以前に始まった認定制度で、筆者もその認定に関わっていた。どう
いう制度かというと、いわば第二創業で立派に業績が伸長し、成長した企業を
表彰する制度だ。第二創業とは、第一創業つまり初代創業者が事業を開始し、
頑張って事業を、会社を継続成長させてきた。しかし、30年から50年くらい
経過するとその長い間に世の中の仕組みや制度、法律など事業を取り巻く環境
が大きく変わる。その経営環境の変化に機敏に対応し、時代環境に応じて巧み
に事業構造を変えた企業を表彰する。言うのは簡単だし、文字にすれば数行だ
が、これを本当に実行するのは難しい。まして、成功するのはもっと難しい。

・先代が創業し、30年から40年くらい経過して、世代交代して後継者が代表
者になった。あるいは、後継者が会社に入り、古くなった体質の事業構造を大
きく転換させようとする。または、かなり事業領域が異なる新しい事業をスタ
ートさせ、何とか努力して少しずつ芽が出てきた。まだ、屋台骨を支えるだけ
の事業にはなってはいないが、今後時代の変化と共に大きく成長が期待できる。
従来の事業は安定してはいるが、成長の兆しが見えない。創業者が始めたころ
とは、環境が大きく異なる。そのころは、おおむね毎年10%以上、事業の伸び
る余地があった。今はどうだろう。数%も伸びればいいほうだ。国全体の成長
率も、2%が高い、低いという時代だ。本当に様変わりした。

<後継者の他社での経験が活きる>
・後継者が業態転換を図り、成功している企業には、いくつかの共通点がある。
まず、後継者が学校を卒業し、就職した企業があまり実家のビジネスと関係が
なかったことだ。ある小売店の後継者は、東京の大学を出て当時隆盛を極めて
いたネット通販企業へ就職した。そこで、大きな組織で揉まれて人間的にも成
長した。そして部下を持つ年齢になったときに、スパッと辞めて実家の商売に
転籍した。そこでは、以前に勤めていたネット通販企業で得た知識や経験、ノ
ウハウが非常に大きく貢献した。思い切って、ネット販売に乗り出し、またそ
れにフィットする商品開発に特化した。以前は微々たるネット通販の売上が、
どんどん伸びて今では全体の売上の半分以上になった。利益率も結構高い。

・自動車関係の商品を扱っている企業では、先代の父親社長の身体具合が悪く
なり、急遽他府県に就職していた息子を実家の商売に呼び戻した。当初、気乗
りがしなかった息子だったが、もう店はおまえに任すという父親社長のその一
言で目が覚めた。任されるなら自分が考えて好きなようにやろうと、一生懸命
新しいやり方に変更し、提供するサービスもいかに他社と差別化できるかに集
中した。差別化できない陳腐なものは早晩止めることとした。最近ではこのビ
ジネスモデルを真似る企業も現れるようになった。近い将来、このビジネスモ
デルをフランチャイズ化して、これはこれでメシが食えるようにするのが理想
だ。少々立ち上がりはもたついたが、今では立派になっている。

<先代が口を出さない>
・このように成功した企業の2番目の共通点は、先代の社長が後継者の始めた
新しい事業にほとんど口を出していないことだ。多くの企業では、先代が後継
者の始めたことに、口も出すし手も出す。手を突っ込んでかき回すことも平気
だ。先代からすれば、危なっかしくて見ていられないのだろう。まして、借入
金が多くて先代の個人資産、特に自宅などが担保に入っていたり、個人保証が
残っている場合などは、どうしても後継者のやる事業に、いちいち口を出さざ
るを得ない。そうなると、指揮命令系統が混乱して、船頭が二人になり、方針
が迷走する。現場は混乱し、意思決定は遅れ、対外的に不信感が募り、スケジ
ュールは遅れがちになり、なかなか結果が出ない。

・逆に、後継者の新規事業が成功したケースでは、ほとんど先代が事業に関与
していない。全権を委任し、資金のことも任せ、人材の採用に関しても、後継
者の意向を十分くみ取って配慮している。成岡の知己の企業では、まだこの時
点では社長を譲ってはいなかったが、先代の社長は隅っこのほうの席に移動し、
まだ専務であった息子が実質社長であると、社内的にも、対外的にも明確に表
明している。こういうことは、実は簡単そうでなかなかできない。どうしても
自分の立場に綿々と固執し、執着する。何とか自分の代で結果を出そうとする
のはいいが、もう時間があまりない。時代の変化のほうが早く、特に今回のコ
ロナショックでその変化の加速度が一段と高まった。

<先代の我慢が成功の秘訣>
・ある企業では、リーマンショックの際に製造業だったので、業績がどん底ま
で落ち込んだ。それまでも芳しくなかった業績は、本当に厳しい状態になって
しまった。大手製造業の直下の下請けであったが、大手企業からの発注がぴた
りと止まってしまった。金融機関からの支援もなく、返済は猶予されたが、そ
れでも毎月バケツの底に穴が開いた状態は、そう簡単に塞ぐことはできなかっ
た。そこで、後継者は大胆にも社長の更迭、交代を主張した。あえて、火中の
栗を拾うつもりで、これよりは悪くなることはないと、大胆に決め込んで社長
の交代を果たした。しばらくは大変だったが、しばらくして若い社長のもとに
従業員が一丸となり、新製品の開発が成功し、何とか危機を乗り切った。

・ある企業では、父親の代から続いた小売業を止めて、サービス業に転換した。
社名もカタカナに変更し、小売業で培ったノウハウを活かして、新しい価値を
提供するサービス業に転身した。本社を改造し、ライブラリーにして、常時サ
ンプルを陳列し多くの見込み客の来店を促した。社員数名に徹底的に教育を施
し、代表者が留守の時間帯もどんな質問にでも答えられるようにした。電話の
応対の教育も行った。数年は必要だったが、ライブラリーの入場者は増加し、
その見込み客からのオーダーが継続的に入るようになった。さらに、京都市内
にもう1か所新しいライブラリーを増設した。ここも、先代が黙って後継者の
成長を見守った。攻めるのも、守るのも、お互いに素晴らしかった。

 

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