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我が社のチャレンジ

Vol.006 
遊休不動産の活用による長期滞在型宿泊施設
株式会社ジャパンステイ
代表取締役 井内隆之さん


■オーナーと観光客の双方にメリットもたらすビジネスモデル

もともと私はディベロッパーに勤務し、不動産開発に携わってきました。ただし近年、住宅は過剰供給傾向にあり、多くの空き室が発生しているのが実情で、借り手を確保するには、家賃を下げざるを得ません。このような状況のなか、より効率的な不動産活用を進めるために観光客に着目し、2007年、そのディベロッパーで国内観光客に遊休不動産を1週間以上の長期で貸す「京都ステイ倶楽部」事業を開始しました。そして、事業の可能性を感じた私は、当時の関係者からの出資により2008年、(株)ジャパンステイを設立し、その後、商標を含めて営業権をデベロッパーから譲り受けたのです。 国内外の観光客などに、住宅を1週間単位ないし月単位で貸すのが当社の主要な事業です。宿泊用の物件は、オーナーから当社がいったん借り受けたうえで、利用者と当社が定期賃貸借契約を結び転貸しています。オーナーのメリットは不動産収益の安定化であり、一方、宿泊する側のメリットは、ホテルより広く快適な空間をリーズナブルな値段で利用できることです。例えば、最も人気のある物件のひとつが祇園にある4DKの町家で、最大8人が宿泊でき、仮に8人で宿泊するとレギュラーシーズンでは1日15,500円、1人当たりに換算すると2千円弱です。類似業態にウィークリーマンションなどがありますが、多くはビジネス向けです。最後発の弊社では、家族など多人数の旅行に対応できることや、観光サービスの提供などの点で差別化をはかっています。


■人手のかからない仕組みづくり

当初は、時間的経済的余裕のある国内在住のシニア世代を主要客層に想定してきましたが、インターネットで海外向けに情報発信したところ多くの反響があり、現在では利用者の6割強が外国人観光客となりました。現在、外国人向けのWEBサイトとフリーペーパーで宣伝をしているだけですが、シーズンによっては定員を大きく上回る予約申し込みをいただきます。特に多いのがアメリカ、オーストラリア、フランスからの観光客で、彼らは代理店を通さず、直接申し込んできます。観光の他には、長期出張、海外に嫁いだ京都出身者の里帰りなどの需要もあります。 事業開始から2年間は仕組みづくりに終始しました。弊社では、利用者と直接接触することを極力減らす仕組みを構築し、気軽に住宅をご利用いただいています。予約や契約はメールで行い、宿泊料金は事前に振り込んでもらいます。また物件への入室はテンキーなどで行うため、鍵の受け渡しも原則的に行いません。 滞在していただく住宅にはキッチンのほか、洗濯機や冷蔵庫、食器、家具など一切の設備・備品を備えています。しかし、外国人観光客は、日本の家電製品の使い方はわかりませんから、日本語と英語による数十ページのマニュアルを置いています。その他、ごみの出し方や土足厳禁といった日本ならではのルールも丁寧に掲載しています。また、周辺のお勧めスポットやスーパーなどの利便情報を整理した当社オリジナルの地図を置いている物件もあります。 人手のかからない仕組みが弊社の特徴であり、強みのひとつですが、トラブルが発生した場合には、即座に駆けつけます。すると逆に、直接会えて会話ができたと喜んでもらえることもあります。


■物件の確保が課題のひとつ

現在、弊社で確保している物件は30軒強、全体の宿泊容量は70人程度で、年間の稼働率は70%程度です。数件の戸建住宅を除くと物件のほとんどは集合住宅で、今後も扱う物件を増やしていく計画です。京町家は利用者のニーズが高く、今後、町家を増やしていきたいと考えています。ただし、外国人に貸すことに抵抗感を持つオーナーも多く、また、水周りのなどの改修費に多額の費用がかかり、回収が見込めないというケースも少なくありません。自ら現場に出向き、関係者と協力して取り組んでいますが、適切な物件の確保は当社の大きな課題のひとつです。また将来は、京都駅前等の好立地で小さな旅館を確保し、核となる宿泊施設にしたいとも考えています。

 


■他社との連携によるサービスの充実

ホテルや旅館、類似業態なども含め競合は多く、それらと差別化を図るために、多くの方々との協働で魅力的なサービスの提供に取り組んでいます。例えば、昨年、文化財修復の専門家とタイアップし、京町家を会場にして、往時の祇園祭の様子を楽しむというイベントを開催しました。このようなイベントを開催したり、あるいはコンテンツをお持ちの企業などと連携したりすることで、より京都を楽しんでもらうための関連サービスを充実させていくつもりです。 現在、弊社を利用される外国人観光客の多くが欧米人ですが、今後は中国などアジアからの観光客も増えることが予想されるため、当然それにあわせた新たなサービスも必要になると思います。



<企業情報>

株式会社ジャパンステイ 代表取締役 井内隆之氏
〒602-0898 京都市上京区烏丸通寺之内上る
TEL 075-417-1799 URL http://www.kyoto-taizai.com/index.html
事業内容:不動産賃貸、不動産活用のためのイベント企画・開発
従業員5人(常勤3名)、資本金1,500万円年商、約4,500万円

 
[我が社のチャレンジ006] 株式会社ジャパンステイ 代表取締役 井内隆之さん