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Vol.005
光造形で「世界最速納品」を実現する、高度な試作ビジネス
株式会社クロスエフェクト
代表取締役 竹田正俊さん
■「強み」は光造形によるラピッドプロトタイピング技術
私が弊社の法人設立をしたのは2001年8月。アメリカから戻り、今後の試作ビジネスについて考えていた所、偶然にも創業間もない「京都試作ネット」という試作グループに出会い、3年間にわたるドラッカーマネジメントの勉強会を経て、同グループに加盟、現在の礎を築きました。
弊社はプラスチック製品の試作開発・製造会社で、最先端の光造形という技術を使っています。光造形とは、レーザーをあてると固形化するプラスチック溶液を活用した技術で、例えば、エンジンの模型を作り上げる場合、コンピューターでまず三次元データを作成し、そのデータに基づいて下部から上部まで厚さ0.1mmごとにプラスチック溶液にレーザー光線を照射して焼き固めていくことで、立体物を生成します。この技法だと、例えば内部にぽっかり丸い空洞があるような形など、外側からの切削では作成不可能な形も、迅速に作成できます。
もちろん、揺れるプラスチック溶液の中でのレーザー照射作業となりますので、極めて的確な照射時間と光量でレーザー光線を当てることが必要です。つまり、このまるでSF映画のような最新技術も、実はコンピューターを駆使するデジタルマイスターに支えられているのです。この技能者を育て上げるのに、暗黙知となっている熟練性(経験・コツ・勘)を徹底的に形式知に置き換える作業を行いました。また、大量生産向きの技術でないことが、大企業や追従業者の参入障壁となっています。
現在、弊社の顧客は、自動車産業が10%(リーマンショック前は25%)、医療関係が30%、家電産業が10%、アミューズメント産業が10%、大学・研究機関が15%、産業機器が25%などで多岐に渡ります。一つの産業に偏ることのない幅広い顧客層が、景気の影響を和らげたのだと思います。

■付加価値は「時短」
弊社の試作サービスの付加価値は、何よりも「短納期」であることです。費用が高くついても、開発期間を短縮したい顧客や案件はたくさんあります。私達が「光造形」を取り扱っているのも、この技術が現在世界最先端で世界最速だからです。顧客へ売っているのは、「試作品」ではなく、本当は「時間」であるとの意識を常に全員が持ち、マーケティングから、加工技術、生産管理まで、あらゆる改善を重ねています。
2008年12月、光造形によりあらゆる形状を、迅速につくり上げるという「強み」をより強くアピールするため、「世界最速サービス」を開始しました。これは、150×150×75mm程度までの製品であれば、「受注後24時間以内に試作品を作成、万が一発送できない場合は代金は頂きません。」というもので、Web上で公開したところ、大変話題となり、多くの受注に結びついています。
■生産管理の「見える化」で試作の課題を克服
正確な見積りを「限られた時間内」に提出するのは非常に難しいですが、試作は通常どれも一回限り、初めての製造ばかりですから、正確な見積りを計算することは非常に困難です。どのような製品には何時間機械を稼動させ、どれくらい手間がかかるのかを正確に予測しなければなりません。
そこで、全社員参加型の生産管理システムを開発しました。全社員が各工程での作業内容や所要時間を細かく報告し、それぞれの製品について、受注額と、作業時間と内容、材料費、間接経費などを集計することで、各業務の中でどれだけの損益が発生しているか、一目に理解できるようになり、業務効率の改善と正確な原価計算・見積りに生かしています。同時に、この情報を全社員で共有することで、従業員の意識は変わりました。
また、工程進捗状況を逐次スクリーンに投影し、今、誰がどの工程に携わっているかを、全従業員が分かるようにしています。これにより、最適な生産スケジュールを逐次見直し、生産リードタイムが短縮され、今では1ヶ月に100件以上の開発試作案件をこなしています。
■今後のビジネス戦略
これからの時代、開発工程での「高速試作」は卓越した高度なものづくり技術が必要です。3Dデジタルエンジニアリングのフロントランナーとして、常に期待を超える試作品をどこよりも速く提供し続けるためには、最先端の加工技術だけでなく、設計、デザインといった上流工程に遡ることも欠かせません。最先端の技術もいずれ陳腐化します。10年後には光造形技術も、あたかも印刷屋さんが写真をプリントアウトするようなごく当たり前の技術になっているかもしれません。自らの技術を自らの手で陳腐化させ、私たちはもっと上流工程への進出を心掛け、設計やデザインから、開発工程を支援する体制を強化しておく必要があると考えています。
また、難易度の高い開発案件に挑戦していく為にも、いずれは海外(先進諸国)に進出するビジョンを持っています。あくまでも開発の拠点はここ「京都」とし、世界中からの開発案件を集めたいと思っています。英語版WEBサイトを作成し、イギリス、フランス、ロシアそしてサウジアラビアにプロモーションをしたところ、サウジアラビアからは大変良い条件の受注を得ることができました。いつかは米国シリコンバレーに進出し、世界最速の開発支援企業になることを夢見ています。
<企業情報>
株式会社クロスエフェクト 代表取締役 竹田 正俊 氏
〒612-8443 京都市伏見区竹田藁屋町43
TEL 075-622-2600 URL http://www.xeffect.com
事業内容:プロダクトデザイン、3Dスキャニング(デジタイジング)、3Dモデリングサービス、光造形による3D開発試作モデルの製作、真空注型品製作他
従業員17人、資本金1,000万円、売上高約2億円(2009年度見込み)